建設業法改正で「内訳を書く」ことが努力義務に
2024年12月13日に施行された改正建設業法第20条では、建設業者は材料費・労務費・「適正な施工を確保するために不可欠な経費」の内訳を明示した見積書を作成するよう、努力義務が課されました。2025年12月には、法定福利費・安全衛生経費・建退共掛金の記載などをさらに求める改正も全面施行される予定です。
背景にあるのは、建設業の担い手不足です。技能労働者の処遇を改善するには、適正な労務費が確保され、それが実際に賃金として支払われる必要があります。「一式」というどんぶり勘定の見積もりでは、労務費がどこにいくら計上されているかが見えず、適正な賃金支払いの検証もできません。
「内訳明示」と「原価開示」は別物
ここで混同しやすいのが、「工種別の内訳を書く」ことと「仕入値(原価)や粗利率をそのまま見せる」ことです。改正法が求めているのは前者、つまり「キッチン工事にいくら、電気工事にいくら」といった工種・費目単位の内訳です。自社の仕入れ値や粗利率まで開示することを求めているわけではありません。
- お客様に見せるべきもの:工種ごとの内訳、数量、単価、小計
- 社内でのみ管理すべきもの:原価単価、原価小計、粗利額、粗利率
この線引きをあいまいにしたまま「内訳を細かく書こう」とすると、原価や利益の構造までお客様に伝わってしまい、値引き交渉で不利になりかねません。
電紙見積の社内限定表示という仕組み
電紙見積には、明細行ごとに「社内限定」のチェックを付けられる機能があります。
- 原価単価・原価小計・粗利額・粗利率は、常に社内限定表示(オレンジ色の枠)として区別される
- 特定の明細行自体を「社内限定」にすれば、その行はお客様向けの見積書・PDFから丸ごと除外できる
- 工事区分ごとの内訳・数量・売価単価は、そのままお客様に提示できる形で残る
これにより、改正建設業法が求める「工種別の内訳明示」には対応しつつ、原価や利益率といった社内情報はお客様の目に触れさせない、という使い分けが自然にできます。
まとめ
2024年12月の改正建設業法により、材料費・労務費を含む内訳を明示した見積書の作成が努力義務になりました。ただし、これは工種別の内訳を示すことであり、原価や粗利率まで開示することとは異なります。見積書のシステム側で「お客様に見せる内訳」と「社内限定の原価・粗利」を明確に分けておくことが、法改正への対応と利益構造の保護を両立させる方法です。
よくある質問
見積書に内訳を書くのは義務ですか?
2024年12月施行の改正建設業法第20条では、材料費・労務費等の内訳を明示した見積書の作成が「努力義務」として定められています。罰則を伴う強制ではありませんが、業界全体でこの方向への対応が進んでいます。
内訳を書くと、原価や利益率までお客様に伝わってしまいますか?
いいえ。求められているのは工種・費目単位の内訳であり、自社の仕入れ値(原価)や粗利率の開示は別問題です。見積システム側で表示を使い分けることで、両立できます。
電紙見積の社内限定表示は具体的に何ができますか?
原価単価・原価小計・粗利額・粗利率は常に社内限定表示になるほか、明細行単位で「社内限定」のチェックを付ければ、その行自体をお客様向けの見積書・PDFから除外できます。
2025年12月の改正では何が変わりますか?
法定福利費・安全衛生経費・建退共掛金など、記載を求められる項目がさらに広がる見込みです。詳細は国土交通省の発表を確認することをおすすめします。
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